公衆衛生医師の魅力 – ポイント5

得意分野をつくり、エキスパートになることができる


港保健センター 石川 博己


 2024年4月に名古屋市に公衆衛生医師として入職し、現在は港保健センター所長を務めています。転職までの31年間は、主に市中病院で消化器内科専門医・指導医として臨床に携わってきました。公衆衛生という新しい分野への転身は大きな挑戦でしたが、同時に新たな可能性を開くものでした。臨床での経験で培った知識と診断力、判断力、コミュニケーションスキルは、公衆衛生の現場でも大いに役立ち、幅広い公衆衛生課題の分析と効果的な対策立案にも貢献できると思っています。

 公衆衛生の分野は多岐にわたりますが、これまでの経験も活かしていくつかの分野で専門性を深めていきたいと考えています。消化器内科医として多くのがん患者さんと向き合った経験から、がんの早期発見・早期治療の重要性を強く認識しており、より効果的ながん検診の体制構築に寄与したいと考えています。また、2026年に名古屋で開催されるアジア競技大会に向けた感染症対策も注力分野です。大規模イベントにおける感染症リスク管理は公衆衛生医師の重要な役割であり、最新の疫学データに基づいた対策を立案し、安全な大会運営を支援したいと考えています。さらに、災害時の健康危機管理も、自身のキャリアアップに繋がるテーマです。臨床での経験も活かしつつ、平時からの備えや、災害時の医療・保健活動の調整において、専門的な知見を発揮していきたいと考えています。

 このように、名古屋市保健所は、一人ひとりが得意分野を見つけ、エキスパートとして成長できる環境を提供しています。私自身、臨床医としての経験と公衆衛生医師としての学びを融合させ、名古屋市の公衆衛生の発展に貢献できる「自分ならではのエキスパート」を目指しています。名古屋市で公衆衛生医師として働くことは、市民の健康と安心を守る使命を果たすだけでなく、自身の専門性を追求し、キャリアを豊かにしていく絶好の機会であると実感しています。